自由を守る戦いの中、ウクライナ青年(ナザレンコ・アンドリー氏)が感じた日本国民の意識。ウクライナ東部にある国内第2の都市ハリコフ市出身の彼は、日本で講演を行いながら、今も共産主義と闘っている祖国ウクライナへの思いと日本への激励をこめ、メッセージを言葉にしました。
「日本は覚悟だけが足りない」、「日本よ、ウクライナの轍を踏むな!」
(講演内容要旨)
他国の侵略からの独立を祝う国は世界には多いのです。日本は独立ではなく建国記念(2月11日)を祝うことができる幸せな国です。ウクライナの国旗は、青色(青空)と黄色(小麦)の二色で通常は表されています。しかし、別の色のウクライナの国旗もあります。それは赤色(流した血)と黒(土の色)で表されています。西欧の食糧庫に位置するがゆえに、まわりの国から侵略されつづけてきた歴史があるからなのです。
ウクライナは、モンゴル、リトアニア、ポーランド、ロシア、ソ連から侵略、支配され続けてきました。支配された国民がどのような目にあってきたのか、ひとつの例をお話します。ソ連のスターリン時代にホロドモール(ウクライナに対する民族浄化)がありました。
(写真はウクライナの少女。本文とは直接関係ありません)
ウクライナ人たちは強制移住により、家畜や農地、食料を奪われ、人為的、計画的な大飢饉に落とし入れられ、400万人から1,400万人死亡しました。この人為的計画の目的は、ウクライナ人の人口削減です。ウクライナ人の人口を減らした後、ウクライナの地へロシア人を大量に移住させたのです。ですから、今はウクライナには親ロシア側の住民もいるのです。国を奪うということは、武力によるものだけではありません。
現在は、ハイブリット戦争の時代です。情報を操り、マスメディアを操作して、侵略しようとする国の国民同士を反発させ、分断し、内戦を起こします。
ウクライナ人の土地であったクリミヤでもいつの間にか親ロシア住民が増え、ロシアの宣伝活動によって、ロシア側に合法的に奪われていったのです。
中国もこれと同じやり方で、日本人同士を戦わせます。沖縄を独立させようとしています。その後、中国が沖縄を支配するのです。香港はすでにそうなっています。次は台湾です。その後、沖縄という計画です。
ウクライナも今の日本と同じように、平和ボケしているときがありました。1991年、ソ連より独立した時のことです。ソ連の崩壊によって運よく独立できました。この時は米ソとともに、世界で三番目に核を保有していました。しかし、核を放棄したのです。
軍隊も5分の1に縮小しました。今の日本と同じ考えでした。軍隊を持つ(核をもつ)ことは、戦争に巻き込まれると考えたからです。
ところが、結果は逆でした。2014年、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合。ハリコフの南東の地域では、ロシアの後ろ盾で親露派武装集団が一方的に「独立」を宣言しました。今も、政府軍との紛争が8年近く続いています。
米英はウクライナへの派兵はしません。ドイツはヘルメットを5000個送ってきただけです。武器の提供もしてくれません。
ウクライナは自国軍だけで闘っています。兵力では国境にいる10万人のロシア兵にはかないません。
本土決戦で、国民みんなでゲリラ戦を戦う覚悟です。
国防は国民全員の意識としてあるからです。国防あっての国家です。独立と自由を守るためです。
私はロシア語とウクライナ語を話しますが、ロシア語には親しみも持っていません。長い間のロシア支配によって、代々ウクライナ語は禁止させられてきたため、ロシア語を使っているにすぎません。
日本は第二次大戦後、一時期占領されただけです。今日まで独立を2680年以上も守ってきています。今のウクライナは、平和ボケからさめ、平和は自国軍で守るという覚悟をしました。2010年に政権が交代して非共産化政策をすすめました。共産主義を賛美することを禁止する法もつくりました。
レーニン賛美をやめ、国中のレーニン像を取り壊しました。また、共産主義礼賛の地名も変更しました。民主主義政治のもとでは共産主義思想を無くすことはできません。しかし、共産主義のもとでは、民主主義の自由を簡単に無くすことができるということに気づいたからなのです。
日本は、中国やロシア、北朝鮮、韓国の宣伝工作に負けないでください。ウソを100回言われたら、反論を101回しないと、真実と思われるからです。
ウクライナの地下鉄は12メートルより深く掘って造られます。核シェルターに転用するためです。防衛費を削減して、福祉に使えという左翼の綺麗ごとに惑わされないでください。
日本は憲法改正をして自衛隊を認めることです。ロシアが何故、ウクライナとの国境に10万もの兵士を東から移動させ配置することができたのでしょう。それは、日本が北方領土を取り戻さないだろうと安心しているからです。その証拠に、もし北海道で日米が演習をしただけでも、ロシアはウクライナへ10万もの兵士は向けられなくなるのです。
安全保障の面で、日本とウクライナは連携して、共産主義国の侵略と闘うことができます。ウクライナも日本も、隣国は中国、北朝鮮、ロシアというように共産国に挟まれています。
日本に足りないのは、国を守る覚悟だけだと思います。ウクライナは10回以上侵略されてきました。その度に立ち上がりました。日本は、ウクライナがかつて軍事放棄して、他国に平和を委ねてしまった轍を踏まないでください。
実際にウクライナで起きていることを見て下さい。抑止力を持つことが独立と自由を守ることになるのです。